研究課題
ウシにおける効率的な赤肉生産の確立に向け、骨格筋成長の抑制的調節因子として注目されているMyostatin遺伝子を軸とした骨格筋形成について、黒毛和種生体および細胞を使用し、遺伝子の発現解析を中心に分子レベルでの検討を行った。黒毛和種生体レベルでの研究実績の概要胎子期から肥育完了時(28ヵ月齢)までの発達過程の骨格筋組織において、Myostatin遺伝子の発現は胎子期で最も強く、出生後はその発現量は減少するが肥育中期に再び強い発現が認められた。ドライアイス凍傷後の再生骨格筋では、Myostatin遺伝子の発現抑制およびMyoD、Myf5、MyogeninおよびMRF4などの骨格筋形成関連遺伝子の発現増加が認められた。また、2次元電気泳動法による発現タンパク質の網羅的解析から、正常組織と比較して再生組織において新たに約40スポットのタンパク質発現を認め、さらに、再生組織においてタンパク質発現が倍量以上または半分以下へと変化した多数のスポットが認められた。黒毛和種細胞レベルでの研究実績の概要胎齢5および8ヵ月の黒毛和種骨格筋組織から単離、培養した筋芽細胞において、その増殖速度は両細胞群で異なっており、Myostatin遺伝子の発現パターンも異なっていた。胎齢5ヵ月由来の細胞の増殖初期においてMyostatinおよびMyf5遺伝子の強い発現が認められた。分化誘導後の筋管形成期においてはMyostatin遺伝子の強い発現が認められ、免疫染色から筋管での同タンパク質の強い発現が認められた。筋管形成の分子マーカーであるMyogeninおよびMRF4遺伝子の発現は両細胞群の筋管形成期において強い発現が認められた。
すべて 2004
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Proceedings of the 11^<th> Animal Science Congress The Asian-Australasian Association of Animal Production Societies Vol.3
ページ: 218-220