研究概要 |
レプトスピラは、人獣共通感染症であるレプトスピラ症の起因菌であるが,その病原性機構はほとんど明らかになっていない.レプトスピラ症の多彩な臨床症状は,レプトスピラが多様な臓器に接着・侵入することで引き起こされる.研究代表者は昨年度までの研究から,他の病原性細菌の細胞接着因子と相同性のある病原性レプトスピラのLigタンパク質を同定した.本年度はこのLigタンパク質の宿主細胞側のカウンターパート(レセプター)をBacterial Two Hybrid法により探索した. レプトスピラ細胞表面に露出し、細胞接着に機能すると考えられるLigタンパク質のイムノグロブンリンドメイン6個を含むC末端領域をbaitとし,preyにはHeLa細胞および肺組織のcDNAライブラリーを用いてスクリーニングを行った.その結果HeLa細胞由来cDNAライブラリーのスクリーニングからは,ヘモグロビンがLigタンパク質と結合する宿主タンパク質候補として同定された.レプトスピラはヘモグロビンに対して走化性を示すことがこれまでに報告をされており,環境中で宿主動物の血液中のヘモグロビンを感知し,そこに集まることができるのではないかと考えられている.今後レプトスピラのヘモグロビンに対する走化性のレセプターとしてLigタンパク質が機能しているかについて更なる研究を行う.また肺組織cDNAライブラリーのスクリーニングからは内皮細胞に発現する膜タンパク質が結合タンパク質候補として同定された.今後はレプトスピラの内皮細胞に対する細胞接着性を検討するとともに,このタンパク質がLigタンパク質のレセプターとして機能しているかについても更なる研究を行う.
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