ウマの消化管機能障害を早期に診断することは、急性腹症の適切な予防、診断および治療に有効と考えられる。本研究では、小腸、盲腸、右腹側結腸および右背側結腸における腸電図(Electrointestinography : EIG)の日内変化を観察し、消化管機能の評価方法について検討することを目的とした。 健康なサラブレッド種成馬7頭に対し、1日2回の給餌を行い、24時間連続してEIGの測定を行い、ランニングスペクトル解析を実施した。その結果、EIGは比較的固定されている消化管を対象として、周波数帯のカットオフ値を1.8〜12.0cpmに設定することで非侵襲的に消化管機能を評価できることが明らかとなった。ランニングスペクトル解析は、EIGパワーの変化を視覚的に理解するうえで有効であった。小腸、盲腸、右腹側結腸および右背側結腸のいずれの部位においても、EIG波形の最大波高およびトータルパワーは、摂食に伴い約1〜4時間にわたり有意な増加が観察された。トータルパワーの3cpmは、アーチファクトの影響を受けることから、トータルパワーを指標とする場合には6cpmを中心とした解析が推奨された。以上のことから、消化管電位の変化を臨床的に評価する際には、最大波高とトータルパワーの6cpmとの2つの指標を総合的にとらえることが有効と考えられた。 本研究成果を第138回日本獣医学会学術集会(平成16年秋)および第17回ウマ科学会学術集会(平成16年秋)において発表した。
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