平成16年度の研究実施計画に則って次の2点について研究を行なった。 1)非SH型金属結合タンパク質の網羅的検索 足尾銅山にて7種類の植物を採取した(草本植物2種、木本植物4種、シダ植物1種)。それぞれの銅の含有量を測定し、平均的な耕地に育つ植物よりも銅濃度が数倍高いことを確認した。これらの植物からタンパク質の抽出を試みたが、草本植物1種と木本植物1種以外は十分なタンパク質量が得られなかった。上記2種の植物由来のタンパク質を銅カラムに添加したが、本カラムに結合するタンパク質は検出されなかった。一方、市場で販売されている野菜を使って同様な実験を試みた。すると、コマツナとハツカダイコンにおいて、明らかにHisを介して銅と結合するタンパク質(非SH型金属結合タンパク質)の存在が確認できた。現在、トマトやキュウリなどを使って非SH型金属結合タンパク質の検索を行なっている。今後、TOF-MSによって、それらのタンパク質を同定する予定である。 2)非SH型金属結合タンパク質デハイドリンの金属結合特性 ミカンのデハイドリンはHisを介して金属と結合することがわかっていたが、デハイドリンのどの部分が金属と結合するかは不明だったので、金属結合ドメインを決定した。デハイドリンを5つのドメインに分割し、各々の配列をペプチドとして合成し、銅カラムで分析した。すると、HKGEHHSGDHHが金属結合ドメインであることがわかった。今後は、デハイドリンが金属と結合する際の構造変化について調査する予定である。
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