低密度リポタンパク質受容体(LDLR)は、生体内脂質のホメオスタシスにおいて重要な役割を担っている。近年、LDLRと類似した構造を有する複数のリポタンパク質受容体が単離され、LDLR遺伝子ファミリーを形成し、リポタンパク質受容体が脂質代謝以外の細胞機能に関与することが示唆された。ApoER2とVLDLRは、神経発達に、LRP5は形態形成、糖代謝、骨代謝に関連することが示唆されている。しかし、これらは欠損マウスの表現型の結果であり、機能発現の詳細な分子機構は不明な点が多い。本研究はプロテオーム解析により分子機構の詳細な情報を明らかにし、その情報を用いて機能分子を設計することにより、リポタンパク質受容体が担う細胞機能を制御することを目的としている。平成16年度にはリポタンパク質受容体と結合するタンパク質を数種類同定しており、本年度は同定したタンパク質とリポタンパク質受容体の結合を再確認するために同定したタンパク質が過剰発現する動物細胞株やタグ付きの融合タンパク質の作製を行った。また、同定したタンパク質がリポタンパク質受容体の機能発現にどの様な影響を与えるかを調べるために、RNA干渉法を用いてリポタンパク質受容体をノックダウンさせた動物細胞株を作製した。今後、作製した動物細胞株やタグ付きの融合タンパク質を用いて相互作用を解析し、リポタンパク質受容体の機能発現にどのタンパク質がどのように影響しているかをin vitroとin vivoで解析することにより、詳細な分子機構を明らかにして行く予定である。
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