○キサントンのミトコンドリアへの影響 抗腫瘍活性を示すキサントンの一つであるαマンゴスチンについて、白血病細胞株HL60細胞における標的器官がミトコンドリアであることを明らかにした。また、構造の類似するαマンゴスチン、βマンゴスチン、γマンゴスチンはいずれもHL60細胞に対して添加後1時間という非常に早い段階でミトコンドリア膜電位の低下を誘導した。このことからこれらのキサントンはいずれもミトコンドリアを標的器官として機能することが明らかとなった。これらの成果をまとめBioorganic and Medicinal Chemistryに発表した。 ○キサントンの細胞周期における影響 抗腫瘍活性を示すキサントンの一つであるαマンゴスチンは癌細胞に対して強い殺傷効果を示すものの、増殖が盛んでない正常白血球に対しては殺傷効力が弱いことがわかっている。正常細胞では上皮などの一部の細胞を除き細胞周期が停止し、増殖を行わないが、癌細胞では常に細胞周期がまわり、増殖が盛んである。そこで、キサントンが癌細胞の細胞周期に影響を与えるかどうかについて大腸癌細胞株DLD-1細胞を用いて検討を行った。その結果αマンゴスチンとβマンゴスチンはG1停止を、γマンゴスチンはS期停止を誘導することが明らかになった。また、細胞周期の制御因子であるサイクリン、p27等の蛋白質の発現に変化が見られることが明らかになった。これらの成果をまとめ現在論文投稿中。 ○p53遺伝子欠損マウスの発癌モデルへの応用 昨年12月に理化学研究所バイオリソースセンターよりp53遺伝子欠損マウスを購入し、実験に用いるためのマウスを繁殖した。現在、40匹程度のホモ個体が得られ、17年度よりαマンゴスチンを用いた抗腫瘍実験に取り組む予定。
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