研究概要 |
塩基存在下、アニリンとVaska錯体より得られるイリジウムアニリド(I)錯体を調製し、一酸化炭素雰囲気下での分子内sp^2C-H結合活性化、これにより得られるイリジウムヒドリド錯体へのアセチレンの挿入反応を現在検討している。本方法論は、医薬品の重要骨格の一つであるキノリン環の新規合成法となるため、キノリン環含有抗腫瘍活性天然物であるカンプトテシンの誘導体ライブラリーの固相合成へと応用する予定である。現在、パラジウム触媒反応を鍵反応とする別途合成法についても同時に検討しており、既に以下のことについて達成した。 1.固相担体上にスルホン酸エステルリンカーを介して6-キノリノールを担持し、パラジウム触媒反応による水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基への変換を伴う切断に成功した。 2.固相担持2,4-ジクロロー3-(ヒドロキシメチル)キノリンに対する2-ヒドロキシピリジンのN-選択的アルキル化反応、および2位塩素原子選択的分子内Heck反応を達成した。 3.液相反応において、4環性キノリン誘導体の7位塩素原子および10位p-トルエンスルホニルオキシ基の連続的なギ酸還元、アルキルおよびアリールボロン酸とのクロスカップリング反応、アミノ化、チオエーテル化反応などについて達成しており、現在固相反応への適用を検討している。また、連続的分子内不斉Heck反応-鈴木・宮浦反応による、2環性ピリドン誘導体の合成についても検討を行っている。
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