研究概要 |
本研究の初年度であり、化学発光法を用いた抗酸化活性測定法を確立した。本化学発光法はキサンチン-キサンチンオキシダーゼ系にて生成するsuperoxide anion (O_2^-)をMPEC(発光試薬)にて捕捉し、その時の発光子を計測することにより、従って、計測された光子数が少ないほど被験物質の抗酸化力が強いといえる。従来、catechin類、クロロゲン酸などは強い抗酸化活性を持っているとされ、今回はpositive controlとしてepigallocatechinを指標に比較検討を行った。まず抗酸化作用があるとされる生薬について検討した。またその中でも比較的活性の強いものも見受けられたが、生薬エキスと単一化合物では、エキス中に含有される化合物の割合が様々なので一概にはいえない。実際に活性物質を分離精製するまでの指標にしかできず、このことは今後の検討課題である。 また、初代培養ラット肝細胞を用い、活性酸素種を用い炎症を惹起する実験系の検討を行った。一定濃度に調整した天然化合物(今回はcatechinを用いた)を培地に添加した状態で24hr培養した。その後、培地を交換するのと同時に0,1%H_2O_2をになるように調整した培地を加え40min間、細胞を培養した。その後細胞へ傷害度を測定し保護作用を評価、プレート上に残った細胞はトリプシンを用い剥がし、comet assayを行う。現時点でH_2O_2を用いて酸化傷害を起こさせているが、効能の評価系に酸化還元反応を用いているので残存のH_2O_2の影響が捨て切れず、評価系にも今後検討の余地が残った。また、comet assayを最終的な評価基準にし、その特性を最大限に利用することを考慮し、Hep G2などのヒト由来の細胞の利用も検討していく予定である。
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