研究概要 |
金属ナノ粒子の不溶化を行うべく,poly(4,4'-bipyridine-co-α,α'-dibromo-p-xylene)と塩化パラジウムとの自己集合により,不溶性高分子錯体が得られた.これをNaBH_4で還元することで黒色の不溶性パラジウム微粒子-高分子超分子nano-Pd-Vが調製された. 一級アルコールを求核剤としたケトンのα-アルキル化反応を,本固相触媒反応のターゲットに設定した.ケトンのα-アルキル化は通常,ハロゲン化アルキルとケトンのアルカリ金属エノラートを用いて行われるが,ハロゲン化アルキルの毒性,環境への負荷の問題,さらにはモノアルキル化の反応制御の困難さなどの問題を呈していた.ハロゲン化アルキルの代わりに一級アルコールを用いることが可能であれば,生成物は所望のα-アルキル付加体,水のみであり,グリーンケミストリー,アトムエコノミーの要件を満たす.さらに再利用可能な固相触媒の活用により,本反応系の効率の向上が図られる. 検討の結果,調製された不溶性パラジウム微粒子-高分子超分子nano-Pd-Vを固相触媒とし,塩基存在下,1-octanolを求核剤とした2-octanoneのα-アルキル化を行ったところ,所望のHexadecan-7-oneが得られた.また,再利用活性の有効性が見出された. 興味深いことにこの反応は,脱気することなく空気中で進行することが明らかになった.さらに触媒は,濾過などの操作により生成物に混入することなく簡便に分離回収することが可能である.
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