研究概要 |
1 我々は、鎖状高分子配位子と遷移金属化合物からの自己集合触媒介したトリスホスフィンを合成し、超分子錯体を生成するために種々の後周期遷移金属化合物を存在させる事で、金属を介したトリスホスフィンの集合化が起きた。この超分子錯体を、いくつかの炭素-炭素結合形成反応の触媒へ適用した。 2 両親媒性高分子配位子とパラジウムからなる固体触媒膜をマイクロチャネルリアクター内に調製し,有機合成反応に適用した。すなわち,ダブルY型のマイクロチャネルリアクター内にて水溶液と酢酸エチルからなる層流界面に,高分子パラジウム錯体触媒膜を調製した。この錯体触媒膜存在下,ヨードベンゼン誘導体の2-プロパノール溶液とフェニルボロン酸誘導体の水溶液での層流状態における鈴木-宮浦反応を検討した。 3 我々は両親媒性高分子担持Pdナノ粒子触媒の開発に既に成功している。今回、より活性が高く調製の簡便な触媒創製を行うべく、両親媒性高分子担持Ptナノ粒子触媒の開発を行った。PS-PEG-NH2とZeise塩の錯体形成後、ベンジルアルコールで還元し、Ptナノ粒子を調製した。本Pt粒子を触媒としたアルコールの酸化反応は、水中酸素雰囲気下60℃で効率的に進行し、また触媒の再利用が可能であった。 4 今回、ポリピリジニウムとリンタングステン酸から新しい固相触媒の創製を行なった。ビスピリジンとジブロモアルカンから調製される両親媒性鎖状高分子ポリピリジニウムは、リンタングステン酸と自己集合し、高分子ピリジニウム-タングステン錯体を与えた。この錯体を4-アルケノールの酸化的環化反応に付したところ、有機溶媒非存在下、過酸化水素水中にてテトラヒドロフラン誘導体が高収率で生成することを見出した。
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