研究課題
1.リゾチームはプロテアーゼによって加水分解され、DMSOによりタンパク質の再編成が進行することが知られている。リゾチームの加水分解にて遊離する15残基のペプチド鎖中の一つのアミノ酸をシステインに置き換えたペプチドを自動合成装置で効率良く合成しHPLCにて精製した。凍結乾燥後、プロテアーゼ処理したリゾチームに過剰の合成ペプチドを加え、DMSOにより再編成を行い、SH基の検出を蛍光基などで試みたが困難であった。そこで、あらかじめ糖を導入したペプチドを用いることとし、上記のように合成したSH基をもつペプチドに、別途合成したヨードアセチル基を有する糖化合物を反応させ、HPLC精製の後、望みの糖ペプチドを得た。合成糖ペプチドを用いて再編成を行ったところ、TOF-MSにて糖の分子量分が増加したマスピークを検出することができた。今後、生体内での新生糖タンパク質の合成に重要な、高マンノース型糖鎖の類縁体の導入を試みる。2.糖タンパク質の品質管理機構解明の糖鎖プローブ合成とその生理活性の評価研究を行った。品質管理機構に関わるグルコシダーゼIIの阻害剤をデザインし、合成に成功した。品質管理機構に重要な分子シャペロンであるカルレティキュリンを組み換えタンパク質として大腸菌から発現させ、合成した本阻害剤とシャペロンとの結合能をITCを用いて測定した。その他の生理活性についても検討中である。3.また、グリコシデーションがキシレン凍結溶媒中で著しく加速されることを研究室の共同研究で見いだし、10糖以上のカップリングにおいても有効であることを示すことに成功した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
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