probucol/PVP/SDS(重量比1:3:1)の混合粉砕物(GM)を水に分散することで、PVPの分子量に依存したナノ微粒子形成が起こることを報告してきた。今回、probucol/PVPK17/SDS混合粉砕物について、固体及び懸濁液状態での安定性、混合粉砕物中の3成分の分子状態について検討した。 3成分GM懸濁液の粒度分布を測定した結果、平均粒子径約90nmのナノ微粒子だ得られた。一方、2成分系(probucol/PVP、probucol/SDS)のGMを水中に分散してもナノサイズの微粒子は形成しなかった。調製した3成分GMを固体状態のまま40℃、22%RHで6ヶ月保存した後、水に分散すると保存前と同様のナノ微粒子形成が認められた。また、GMを水に分散して調製した懸濁液を25℃で長期保存したところ、1ヶ月が経過してもほとんどの薬物が粒子径約130nmのナノ微粒子として存在できることが明らかとなった。 混合粉砕時に生じる3成分間の相互作用について、固体NMR測定を行ったところ、probucolのOH基に隣接する炭素の低磁場シフト及びベンゼン環周辺の環境変化に由来すると考えられる新しいピークが観察された。これは粉砕中にPVPとprobucol間に水素結合が形成したためと考えられた。さらに、SDSのSO_4に隣接する炭素においても高磁場側に肩ピークが観察され、PVPとSDS間の相互作用に由来すると考えられた。以上の結果より、粉砕により生じるprobucol-PVP及びPVP-SDS間の相互作用によりナノ微粒子が形成されたと考えられた。
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