SCF^<Fbs1>は細胞質において、N結合型糖鎖を有するタンパク質を認識して分解マーカーであるユビキチン鎖を連結する酵素であり、プロテアソームによる糖タンパク質の分解において重要な役割を担っている。これまでSCF^<Fbs1>の基質認識ユニットであるFbs1の糖タンパク質に対する分子認識の詳細を前年度まで明らかとしてきた。今年度は、同じファミリーに属するFbs2の糖鎖結合特異性をフロンタルアフィニティクロマトグラフィにより明らかとした。Fbs1は糖鎖のトリマンノシルコアと糖鎖の結合しているAsn残基を認識する一方、Fbs2は広い糖鎖基質特異性を示すことが明らかとなった。また、Fbs1と密接に生体内で関係しているPeptide : N-glycanase(PNGase)は細胞質においてN結合型糖鎖の結合部位にあたるアスパラギン残基側鎖のアミド結合を加水分解し、糖鎖を遊離させる酵素として機能している。N末端領域に存在するPUBドメインは小胞体関連分解(ERAD)に関与するタンパク質(ユビキチン、19SプロテアソームサブユニットS4など)と相互作用することが報告されており、PUBドメインの立体構造は、糖タンパク質分解における糖鎖修飾系とユビキチン修飾系の連携の構造基盤を明らかにする上で重要である。NMR解析の結果、PUBドメインは、αヘリックスに富むフォールドであることが判明した。またそのユビキチン結合部位を同定することに成功した。
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