セリン/スレオニン残基のO-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)修飾は、タンパク質の機能調節に関わる翻訳後修飾として、近年注目を集めている。O-GlcNAcが結合したペプチドは、MS/MSスペクトルにGlcNAc由来のm/z 204のフラグメントイオンが強く検出され、MSデータをアミノ酸修飾としてGlcNAcを設定しデータベース検索することよりペプチドを同定することが出来る。網羅的解析のモデルとして、O-GlcNAcase阻害剤PUGNAC処理したHL-60細胞より調整した細胞質タンパク質を用いた。還元カルボキシメチル化しトリプシン消化した試料を、LC/MS/MSにかけたがO-GlcNAc化ペプチドを検出することは出来なかった。そこで、GlcNAcと親和性のあるレクチンWGAでO-GlcNAc化ペプチドを濃縮しWGA吸着画分をLC/MS/MSにかけたところ、いくつかピークを検出した。ほとんどの得られたMS/MSスペクトルはm/z 204のフラグメントイオンが検出されておりO-GlcNAc化ペプチドであることが推測されたが、スペクトルの質が悪く同定には至らなかった。より良いサンプルの調整法を検討する必要がある。本研究には質量分析装置にはQ-TOF MS (Qstar pulser i)を用いたが、網羅的解析を行うには感度が低くおよびスキャンスピードが遅いため、より高感度な質量分析装置を用いて網羅的解析を目指す。
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