平成17年度は、平成16年度に構築できたCYP2C19及びN-アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)の簡易迅速なベッドサイドSNP検出法に引き続き、アミノグリコシド系抗生物質投与による難聴発症のリスクファクターであるミトコンドリアDNA 1555G>A多型、抗癌剤やあるメルカプトプリンに解毒代謝酵素であるチオプリンメチルトランスフェラーゼ(TPMT)の*3C多型(719A>G)、抗癌剤であるイリノテカンの副作用発現に関与するUDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1A1(UGT1A1)の*6多型(211G>A)及び*27多型(686C>A)のSNP検出系を開発した。方法はゲノムDNAを鋳型として、各遺伝子のSNPを挟む領域でPCRを行った。その際に、一方のプライマーの5'端をジゴキシゲニンでラベルした。また、反応液中には5'端ラベルプライマーとは逆鎖に作成したビオチンラベル対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを加えた。PCR後、高温でPCR産物を一本鎖にし、続いて温度を段階的に低下させた。鋳型DNAとビオチンプローブの配列が一致する場合、その産物はビオチンとジゴキシゲニンのダブルラベル化体を形成した。それに対して鋳型DNAとビオチンプローブの配列が一致しない場合は、ダブルラベル化体は得られなかった。次に得られた反応物をDNA検出ストリップ(第一化学薬品製)にスポットし、展開した。今回開発したベッドサイド遺伝子診断法は、PCR後約10〜15分で、ミトコンドリアDNA 1555A>G、TPMT*3C、UGT1A1*6及びUGT1A1*27のSNPの有無を視覚的に検出することができ、電気泳動等の煩雑な操作を必要としないため、臨床現場での遺伝子診断を容易にするツールになると考えられた。
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