オートファジーとは、細胞内の古くなった構造物を一部の細胞質と共に非特異的に取り囲みオートファゴソームを形成し、そこに小胞輸送されたリソソーム酵素が加わることで分解が進む現象を言い、酵母からヒトまで真核生物に普遍的に保存された現象である。また、オートファジーは細胞の恒常性や生存の維持に重要な役割を果たしている。酵母では遺伝学的な解析からオートファジーの機構が明らかになりつつあるが、哺乳類でのオートファジーは研究の緒についたばかりで、詳細は明らかになっていない。 本研究では、オートファジーの形成過程を明らかにするためにオートファジーを簡便に追跡できるモデルマウスを作製し、形態学、生化学的な実験手法を用いて解析を行った。 本年度は研究計画に従い、カテプシンD欠損マウスとGFP-LC3のトランスジェニックマウスを交配させ、カテプシンD/GFP-LC3マウスを得ることに成功した。これらのマウスから時間軸に沿って様々な組織の採取を完了した。現在、これらの組織を免疫組織化学、電子顕微鏡観察、プロテオーム解析へと進めている段階である。 また、様々な週齢マウスに低酸素虚血負荷を与え脳組織の観察を行った。apoptoticな変化はimmatureなマウスに顕著に観察されたが、オートファジーの亢進はadultなマウスの方が顕著であることが分かった。これらの結果から、脳障害の機構が年齢によって異なることが示唆された。
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