研究課題
前年度(平成16年度)に引き続き、ケモカイン及びケモカインレセプター特異的cDNA microarrayを用いてラット初代培養マイクログリアが発現するケモカイン、ケモカインレセプターの遺伝子発現パターンを網羅的に解析した。使用したcDNA microarrayシステムはマウス用であり、マウスでは同定されているがラットでは未同定のケモカインを検索する狙いを合わせ持って、研究を行った。結果として、ラットでは未同定のケモカインCCL6をマイクログリアからクローニングし、脳内におけるその役割を解明した(Kanno et. al. 2005. Journal of Neuroimmunology)。マイクログリアをバクテリア由来リポポリサッカライドで処理し、経時的にケモカイン及びケモカインレセプターの発現変化をcDNA microarrayで検討した結果、多種のケモカイン、ケモカインレセプターが処理後時間に依存して変化することが明らかとなった(菅野素子ら、2005、日本生理学会大会)。興味深いことに、リポポリサッカライド処理後30分以内に遺伝子発現が増加するケモカインとしてCCL28を同定し、同時にCCL28のレセプターであるCCR10の発現増大も確認した(鈴木俊二ら、2005、日本神経化学会大会)。マイクログリアが生産するケモカインはサイトカインに次ぐ二次的な役割だと考えるのが一般的であるが、本研究で示したCCL28-CCR10システムのrapid-inductionはケモカインによる脳内免疫監視システムを解明する上で非常に興味深い現象である。現在、CCL28-CCR10が脳内の細胞間コミュニケーションにどのように関わっているのか、検討中である。
すべて 2005
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Journal of Neuroimmunology 167
ページ: 72-80