研究概要 |
これまでに、centriolar satellitesが微小管上をダイニンにより運動し中心体周辺に集積する新規非膜系オルガネラである事、中心体の複製・成熟にcentriolar satellitesが必要であることを明らかにしてきた。また、繊毛細胞に於ける中心子複製および繊毛形成時に重要な役割を果たすとされてきたfibrous granulesと呼ばれる未知の構造物がcentriolar satellitesと同一のオルガネラであることを示してきた。今回の研究ではまず、centriolar satellites構成蛋白であるPCM-1のドメイン解析を行い、PCM-1同士のhomophilicな結合に必要な部位を二ヶ所同定した。同定した部位を元にしてPCM-1同士の結合を特異的に阻害するペプチドを作成した。PCM-1同士の結合を阻害すると、centriolar satellitesが観察できなくなった。現在までに得られた他の知見と合わせて、PCM-1蛋白がcentriolar satellitesのscattered proteinであると結論づけられた。 一方、繊毛上皮におけるcilia形成においてcentriolar satellitesが果たす役割を解析するために、マウス気管上皮細胞を用いて、繊毛上皮のprimary cultureの系を確立した。そして、PCM-1,γ-tubulin, ODF2,pericentrin, centrin, nineinおよび既知の中心体関連蛋白質の繊毛上皮形成の過程における発現変化、局在変化について詳細に解析した。現在、これらの中心体関連蛋白質が繊毛上皮形成において果たす機能について解析するために、繊毛上皮のprimary cultureの系においてRNAiを行える実験系の確立を試みている。
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