研究課題
本研究の目的は、Fhosの微小管細胞骨格との分子レベルでの関連性の解明、そしてFhosによる微小管-アクチン両細胞骨格の動的制御機構の解明であった。これらの目的に従ってFhos-細胞骨格構成成分の同定を試みたところ、驚いたことに我々はFhos2が細胞骨格の一つである中間径フィラメントと結合することを見出した。Fhos2は、我々が今回新規にクローニングしたFhosホモログであり、マウスには2種類のスプライス変異体が臓器特異的に存在していた。すなわち、心臓には主として長いアイソフォームであるFhos2L、腎臓および脳には主に短いアイソフォームであるFhos2Sが発現していた。これら2種類のアイソフォームの活性型変異体はFhos1と同様にアクチンストレスファイバーの形成を誘導することから、Fhos2がアクチンフィラメント形成蛋白質として機能していることが示唆された。ラット胎児心筋由来のH9c2(2-1)細胞を用いて生化学的解析を行ったところ、内因性のFhos2は中間径フィラメント画分に豊富に存在することがわかった。この結果と一致して、抗Fhos2抗体を用いたH9c2(2-1)細胞染色では、Fhos2はnestin中間径フィラメントと共局在していた。さらにラット胎児脳において、Fhos2はnestinを発現した神経上皮細胞に存在していた。このようにFhos2がアクチン形成能を有するだけでなく中間径フィラメントnestinとも関わっていることが明らかとなった。今回の研究結果により、formin相同蛋白質Fhosが中間径フィラメントを含めた細胞骨格の動的制御に関わる可能性が示唆され、このことは細胞骨格の統合的な制御機構の解明に貢献するものであると考えられた。
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