研究概要 |
AIDのaberrant somatic hypermutationによる発がんメカニズムを検討するため、AIDトランスジェニックマウスから生じたTリンパ腫を用いて、どのような遺伝子座に遺伝子変異が導入されているか調べた。T細胞で転写されているc-myc,pim1,atm,p53,TGFbR2,k-ras,cd4,cd5の8つの遺伝子座についてDNAシークエンシングを行なった。AIDトランスジェニックマウスにおいてc-myc、pim1、cd4,cd5で点突然変異が高頻度に観察されたが、atm,p53,TGFbR2,k-rasには変異は認めなかった。c-myc、pim1、cd4,cd5に共通の転写因子結合配列でかつatm,p53,TGFbR2,k-rasのプロモーター/エンハンサー領域にないDNA結合配列を検索すると、E-boxがそれに該当した。これまで内外のグループから報告されたsomatic hypermutationを受ける遺伝子座には、今回の我々の研究で検討した遺伝子座以外にIgH,IgL,MB-1,B29,Pax5,Bc1-6があり、これらはすべてプロモーター/エンハンサー領域にE-boxを持っている事を確認した。従って本研究はE-boxの存在がsomatic hypermutationの有無と強く相関し、E-boxがsomatic hypermutation標的遺伝子座特異性を決める可能性を示唆した。
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