本研究費補助金が10月末に採択されたため全体としては当初予定していた計画から多少遅れているが、個々の内容については問題無く進行している。 以下に本年度予定していた内容のそれぞれの進行状況を示した。 大腸菌RecAタンパク質による組換え中間体の作成 大腸菌の組換え機構の研究において組換え後期過程の解析に用いられてきたモデル組み換え中間体(α-Structure)の作成。α-Structureは一本鎖領域を一部もつ環状二本鎖DNAと直鎖状の二本鎖DNAの2分子のDNAが大腸菌RecAタンパク質によって相補鎖を交換した組換え中間体のモデル基質である。これまでに、RecAタンパク質の大量発現系を構築し、高純度に精製したRecAタンパク質を得ている。また、組み換え中間体のアナログとして合成オリゴDNAを用いた4way junctionも作成した。 ヒトミトコンドリア抽出液の分画と精製 本研究ではミトコンドリア中の分子をいかに濃縮精製できるかに成否がかかっていると考えられる。浮遊細胞系であるJurkat細胞から当研究室で確立した方法によって高純度のミトコンドリアの精製を行った。現在予備実験として、精製したミトコンドリア全抽出液で組換え中間体(4way junction)の分岐点移動・切断活性の検出を進めている。 LC-MSシステム 微量分析用のLC-MSシステムによるミトコンドリア内のタンパク質を同定するシステムを構築した。現在、SDS-PAGEで分離したタンパク質を高感度で検出するシステムが構築できている。最近我々のグループでは、このシステムを用いてミトコンドリアDNAのnucleoidを構成するタンパク質群の網羅的解析を行った(論文投稿準備中)。
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