研究概要 |
二つのユビキチン様修飾システム(Atg,Ufm1システム)に焦点をおき、それらの機能、個体レベルにおける生理的意義について解析を進めている。オートファジー(自食作用)に必須なAtgシステムに関しては、Atgシステムの活性化酵素であるAtg7を肝臓特異的に欠損したマウスを作製、解析した。その結果、オートファジー不能マウスは栄養飢餓に対する蛋白質分解阻害のみならず定常状態においてもユビキチン陽性封入体や異常オルガネラの蓄積を引き起こすことを見いだした(Komatsu et al.投稿中)。この研究は、オートファジーによる異常蛋白質・オルガネラの除去機構の存在を強く示唆する。現在、脳特異的にAtg7を欠損させたマウスを作製し、神経変性疾患発症機構とオートファジーの関連を検討している。 また、Atg蛋白質と相互作用する新奇E1様酵素(Uba5)を同定し、Uba5によって活性化されるモディファイヤー分子(Ufm1)及びUfm1のE2酵素(Ufc1)を同定した。また、Ufm1は細胞内において複数の蛋白質と共有結合することを明らかにした。すなわち新奇ユビキチン様修飾システムを発見した(Komatsu et al.EMBO J.2004)。Ufm1システムは後生動物、植物に保存されているが酵母には存在せず、多細胞生物おいて重要な役割を担うと考えられる。この研究は、蛋白質修飾システムに新たな研究展開を提供した。
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