1)T細胞リンパ腫細胞株Jurkatにシグレック7や9を発現させてその機能解析を行い、これらの分子が、T細胞受容体刺激に対して負の制御をする事、そしてそれはリガンドとなるシアル酸結合が必要である事を明らかにした。シグレック7や9を強制発現させたJurkatリンパ腫細胞のラフト分画には、常にこれら分子が存在していた。T細胞受容体刺激によってシグレック9はラフトへ集積増加してくるが、シグレック7ではこれが見られない。さらに、糖鎖認識部位に変異を加えてリガンド糖鎖との結合能を欠失させると、両シグレックとも、T細胞受容体シグナルに対する抑制作用は減弱する事を明かにして、投稿した。リバイスの後、JBCに掲載された。 2)リポソームはマンノトリオース(M3)で修飾してマウスの腹腔に投与すると、腹腔内マクロファージに効率良く取り込まれるようになる。取り込んだマクロファージは活性化して領域リンパ組織に遊走し、封入抗原特異的な細胞性免疫反応を誘導する。これは、抗原の取込みから提示、そして、免疫活性化に至るまでのモデルとなるこれを元に、抗原や薬剤のドラッグデリバリーシステムを構築し、特許を出願した。 3)2)は、抗原の取込みから提示、そして、免疫活性化に至るまでのモデルとなる。さらに、シアリルラクトース等の種々シアル酸被覆リポソームも、同じ効率でマクロファージに取り込まれる事を見いだした。これをM3リポソームに混合して投与した場合には、マクロファージの抗原取込みから免疫活性化の過程において、シアル酸が存在してマクロファージの反応に介入する状況を作り出せることとなるので、シアル酸を細胞表面に発現している癌をマクロファージが認識して処理する際の反応過程を模倣したモデルとなることを、明かにし、癌関連シアル酸がこのマクロファージ活性化を負に制御する事を明かにした。
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