研究概要 |
In vivo研究:(1)東京大学医学部附属病院で切除された非小細胞肺癌手術材料につき、P27発現低下例においてもP27はmRNAレベルでは保たれている症例が多いことを確認したが、これらの症例では、タンパクおよびmRNAレベルでskp2の過剰発現がみられ、P27発現低下におけるpost-translational processの重要性とskp2の関与を裏付ける結果であった。(2)昨年度、非小細胞肺癌(50例程度)につき、Tissue microarrayの作成を行った。これを用い、P27発現低下と相関する蛋白の有無につき検索を施行し,PTEN消失との関連を見出した。このTissue Microarray作成は今後の非小細胞肺癌におけるP27関連因子の包括的、網羅的検討に寄与するものである。(3)約50例の非小細胞肺癌につき凍結材料を蓄積し、近年肺腺癌において注目を集めるEGFR変異の有無とP27発現の相関を検討したが、明らかな相関はみられなかった。(4)94例の肺腺癌症例につき、新規癌抑制遺伝子TSLC1/IGSF4異常とP27発現との相関を検討したが、相関はみられなかった。 In vitro研究:(1)昨年度同定した、P27発現低下、Skp2発現亢進を伴う非小細胞肺癌細胞株につき、siRNAによるSkp2の抑制、およびラクタシスチンによるプロテアソーム阻害を施行し、これらの細胞株における増殖能および浸潤能の抑制を確認した。
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