研究概要 |
昨年は胃癌所属リンパ節内にHelicobacter pylori(以下H.pylori)の存在を確認することができたことから、今年度はリンパ節内におけるH.pyloriの局在を解析した。 方法としては、RNA in situ hybridization(RNA-ISH)、DNA in situ hybridization(DNA-ISH)、fluorescence in situ hybridization(FISH))の3種類を試みた。 対象は、培養及び定量PCRにて多数のH.pyloriを認めたリンパ節を選び、ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを4μmで薄切した切片を用いた。 RNA-ISHは、種々の検討を行ったが、信頼性の高いシグナルを得ることはできなかった。対象がパラフィン切片であったことが要因であると考える。 DNA-ISHでは、主に、前処理(加温and/or蛋白分解酵素)、プローブの配列(2種類)、抗DIG抗体濃度(100-10,000倍希釈)、wash solutionによる洗浄温度(42-63℃)の4項目について条件検討により、シグナルを得ることができた。シグナルはリンパ節の洞内、特に辺縁洞に多く見られる傾向にあった。シグナルの中には細胞の胞体内にシグナルが見られるものがあり、この細胞の同定のためにFISHによる二重染色を施行した。 FISHでは、H.pyloriをFISHにてFITCで発色し、マクロファージないし樹状細胞をIHCにてTRITCで発色する二重染色法を用いた。これによりマクロファージ内に存在するH.pyloriをより明瞭に正目することに成功した。
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