β-cateninとTCF/LEFの複合体によって発現制御される標的分子を蛋白レベルで網羅的に検索し、あらたな大腸がんのbiomarkerの同定を行うために以下の実験をおこなった。 1.遺伝子導入細胞の作製 テトラサイクリンによってドミナントネガティブβ-cateninを発現誘導できるDN89 β-catenin IEC-6 tet-off細胞およびドミナントネガティブTCF-4を発現誘導できるDN30TCF4 DLD-1 tet-off細胞を作製した。 2.遺伝子導入細胞の生物学的変化の検討 導入遺伝子発現前後における形態、増殖速度について検討した。 3.蛋白質の分画回収 導入遺伝子発現誘導前後の細胞から培養上清中に分泌される蛋白質の分画をリン脂質2分子層膜(リポソーム)を用い様々なリン脂質よりなる人工脂質リポソームと相互作用するたんぱく質を濃縮回収した。 4.たんぱく質の発現比較 回収したたんぱく質は脱塩処理をした後、Protein Chipシステム【○!R】および二次元電気泳動法により解析し発現変化の比較をおこなった。 5.たんぱく質の同定 導入遺伝子発現誘導前後で発現の変化するたんぱく質をHPLCおよび電気泳動法により単離精製し、in gel digest処理後、nano-LC/MS/MSにより同定した。 6.単離された標的蛋白質の重要性の検討 大腸癌および家族性大腸腺腫患者の血清および、切除標本中の同定蛋白質の発現パターンを検討中である。
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