慢性胃炎8例、胃MALTリンパ腫6例、慢性甲状腺炎5例、甲状腺MALTリンパ腫8例に対し免疫組織染色(Envision system)を実施した。樹状細胞(Dendritic cell : DC)を認識するため、CD1a抗体、fascin抗体およびDC-LAMP抗体を使用した。さらに周辺細胞の性質を評価するため、CD3抗体、CD20抗体、CD4抗体、CD8抗体を使用した。慢性甲状腺炎および甲状腺MALTリンパ腫の標本でCD1a陰性/fascin陽性DCの集積が観察された。慢性甲状腺炎では、濾胞に接するCD3陽性T細胞領域にCD1a陰性/fascin陽性DCが多数集積していた。一方、甲状腺MALTリンパ腫では、濾胞間にCD1a陰性/fascin陽性DCが集積していたが、周辺細胞はCD3陽性T細胞やCD20陽性B細胞など多彩な細胞が存在していた。慢性胃炎および胃MALTリンパ腫の症例では、小さい標本が多かったこともあり、CD1a陰性/fascin陽性DCの集積像は観察されたのは、胃MALTリンパ腫の2例のみであった。DC-LAMPは、パラフィン標本における染色性が不良であり現在染色条件を検討している。浸潤するT細胞およびDCの性質を検討するため、MIP3β/CCL21抗体、CCR6抗体、6Ckine/CCL19抗体、Langerin抗体、CCR7抗体、などを用いて現在染色している。CCR7は、DCに発現するケモカインレセプターであるが、そのリガンドであるCCL19やCCL21は通常リンパ節内で発現がみられDCの分化成熟に関与している。リンパ節外の組織である慢性甲状腺炎や甲状腺MALTリンパ腫におけるこれらの分子発現を検討し相違を解析する。
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