フレンドウイルスの感染の成立には宿主側の遺伝的背景が非常に重要な因子として考えられている。Rfv-3遺伝子は、第15番染色体上に存在することが知られており、感染後15日目の中和抗体価を指標にマッピングを行ってきた。その結果、第15番染色体上のD15Mit1からD15Mit118の約3Mbの領域に存在することを突きとめた。この領域には92の遺伝子が存在し、Rfv-3遺伝子型の感受性系統と抵抗性型系統の間でのこれらの遺伝子発現の比較や、ゲノムの一次配列の比較から、昨年度までに2つの候補遺伝子を決定した。 平成17年度には、Rfv-3遺伝子の分子実体を明らかにするために、フレンドウイルス抵抗性型の候補遺伝子を感受性系統のAWySn/J系統のマウスに導入することで、フレンドウイルス感染抵抗性を付与するかを検証することを目標として研究を進めた。AWySn/J系統のマウスは、通常のトランスジェニックマウスの作成の様に、受精卵の前核へのマイクロインジェクションによる遺伝子導入非常に困難であった。そこで、ほとんどのマウス系統で高効率に遺伝子導入が可能であることが知られているレンチウイルスベクターを用いて、候補遺伝子のAWySn/J系統マウスへの遺伝子導入を試みたところ、抵抗性型Rfv-3候補遺伝子をAWySn/J系統マウスへの導入することに成功し、複数個体でその発現も確認できた。 現在、フレンドウイルス感染後15日目でのウイルス中和抗体産生を計測するため、候補遺伝子トランスジェニックマウスの繁殖交配を行っている。
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