研究課題
クリプトスポリジウム症の病因原虫C.parvumのゲノム上にalternative oxidase(CpAOX)遺伝子の存在とその組み替えタンパク質に実際に酸化酵素活性を明らかにしたため、次にこれを標的としての化学療法の可能性を探索するのが本研究の目的である。ゲノムプロジェクトの進展により本原虫のゲノム上には活性を持つ他の酸化酵素は存在しないことが明らかになった。従って、他の酸化経路を考慮する必要はないと考えられた。そこで阻害剤アスコフラノンにより、原虫の生育を阻害できるか以下の検討を行った。HCT-8培養細胞にC.parvumを感染させ、アスコフラノンを培地に添加48時間後にオーシストの数を直接蛍光抗体法で効果を判定したところ、12μM濃度でオーシストが検出されなくなった。しかし、より詳細な解析にはメロントの検出も同時に行うことが必要であったので、メロントの検出を試みたが、直接蛍光抗体法では検出できないことがわかり、他の方法を検討中である。動物実験のモデルとして、SCIDマウスを用い、C.parvumオーシスト10^6を感染させ、糞便中にオーシストを確認後、100mg/kgのアスコフラノンを腹腔内に5日連続投与を行った結果、投与開始8-10日後に4匹のマウス全てがオーシスト陰性になった。その後の経過で1匹はオーシスト排出が再発したが、残りの3匹は60日後まで陰性であり、治癒されたと判断された。以上の結果から、用量、投与方法の検討は必要であるが、アスコフラノン単独でクリプトスポリジウム症の治療を行いうる可能性が示唆された。
すべて 2006 2005
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