1.スラバヤ地方における臨床、及び、環境分離株のPCRスクリーニングを行った。PCRによる毒素原性大腸菌(ETEC)以外の菌株の陽性反応のシグナルは弱いため、PCRプライマーの再デザインによるシグナルの増強を試みたが、新たに作製したPCRプライマーにおいても得られるシグナルは弱いか、または、検出限界以下であった。 2.PCRスクリーニングで陽性を示した菌株について、グラム染色を行ったところ、グラム陰性の桿菌であることが判明した。また、本菌株は、栄養最小限培地では、ETECなどの大腸菌と比較して著しく増殖が遅かった。さらに、チトクローム・オキシダーゼ試験を行ったところ、ETEC等の大腸菌が陰性であるのに対し、PCR陽性株では陽性の反応が認められたことから、PCR陽性株は、チトクローム系を有する細菌であることが判明した。 3.スラバヤ地方から分離されたETEC以外のPCR陽性株について菌体DNAを種々の制限酵素で消化し、パルスフィールド電気泳動を行った後、ゲル中のDNA断片をニトロセルロース膜に転写し、ETECの易熱性エンテロトキシン遺伝子に対するプローブに対してハイブリダイゼーションするバンドの検出を試みた。その結果、high stringency条件下では易熱性エンテロトキシン遺伝子に対するプローブに反応するバンドは検出されなかった。しかしながら、low stringency条件下では、本プローブに反応するバンドが検出されることが判明した。
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