研究課題
<分泌小胞上に発現させたABCタンパク質の機能解析>出芽酵母はSec6遺伝子の変異Sec6-4によって、25℃では正常に生育するが、37℃では分泌小胞を細胞内に大量に蓄積することが知られている。出芽酵母の主なABCタンパク質遺伝子を破壊した株(AD1-8u-)にこのSec6-4遺伝子変異を導入し、37℃において分泌小胞を蓄積するような株(AD1-8u-sec6-4)を構築した。まず、この酵母株がどのような温度において報告されているような分泌小胞を蓄積するのかを透過型電子顕微鏡観察により検討した。その結果、AD1-8u-sec6-4は25度でも少量の分泌小胞の蓄積が見られ、温度依存的に小胞の蓄積が増えていくが、37℃では正常な細胞形態をとっていなかった。<Candida glabrataのABCタンパク質Cdr1pおよびPdh1pのリン酸化による活性制御>病原真菌Candida glabrataのABCタンパク質、Cdr1pとPdh1pはアゾール系抗真菌薬を排出し、真菌に薬剤耐性能を付与する。Cdr1pとPdh1pを出芽酵母において大量発現させて、タンパク質のリン酸化状態と薬剤排出機能の相関を調べた。抗リン酸化セリン・スレオニン抗体を用いたウエスタンブロット解析により、両者はそれぞれ異なるPKAの触媒サブユニットによってリン酸化されること、またそのリン酸化量がストレスや栄養条件によって変動することを明らかにした。さらに、Cdr1pの予測されるリン酸化部位を変異させたタンパク質を用いて解析を行った。その結果、307番目のセリンと、484番目のセリンをアラニンに置換させると、リン酸化量とATP加水分解活性が低下し、薬剤耐性能も低下することを明らかにした。これらのリン酸化部位は近傍にあるNBD(nucleotide binding domain)の活性を調節し、タンパク質全体の薬剤輸送活性を調節するものと考えられる。
すべて 2005
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