研究課題:全国医学部における代替医療教育の現状(追跡調査) 目的:全国医学部における相補代替医療(complementary and alternative medicine:以下CAM)教育の現状を把握し、1999年にわれわれが実施した同調査と比較検討すること。 方法:前調査同様、全80大学医学部の教務担当事務員を対象とした電話調査で、CAMが公式カリキュラムに含まれるか否か確認し、教育内容、形式、担当講座、担当者、授業時間、年間回数などを調査した。2005年7月22日から8月31日の期間に実施した。 結果:回答率は100%で、全80校中69校(86%)でCAM教育が実施されていた。1999年は16校(20%)なので、5年間で実施校が著しく増加した。実施校のすべてで漢方(100%)が、21校で鍼灸(30%)がなされていた。前調査では95%が東洋医学という結果だったが、本調査ではCAMという広い枠組みで教育する医学部が14校(20%)認めた。その内容は、健康食品、サプリメント、指圧・あんま・マッサージ、柔道整復、スピリチュアルケア、アロマセラピー、カイロプラクティック、呪術、シャーマン、カルトなど多彩であった。また、CAM領域のEBMを教育する医学部が7校(10%)と目立った。担当者は東洋医学、漢方医学、CAMなどの専門家が37校をしめ、専門機関が存在しない大学は専門家を非常勤講師として招聘して実施していた。 結論:1999年から2004年の5年でCAMを教育する医学部は急増した。漢方の必修化と、医療従事者へCAMが浸透しはじめたことが影響していると思われる。 中間報告として第36回日本医学教育学会に「日本の医学部における相補代替医療教育の現状:第2報」と題して発表。現在、同学会誌に「全国医学部における相補代替医療教育の現状:追跡調査1999-2004」と題した原著を投稿中。
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