研究概要 |
慶應義塾大学医学部のスキルラボの最大の特徴は、常勤の管理者が、医療従事者(看護師)であり、かつ、自らシミュレーショントレーニングのインストラクターを務めることが可能な人材であり、スキルラボとして、自発的に講習会の企画、受講生の募集などを行える点である。 当クリニカルシミュレーションラボの業務日報より集計すると、2003年8月〜2004年7月の1年間では、利用者数はのべ5412人であり、開催された教育プログラム数は554件であった。1年間の開館日数(285日)で除すると1日あたり、19.0人が利用し、1.94件の教育プログラムが開催され、1日あたりの教育プログラムに利用される時間は平均4.01時間であった。 利用者は医学部学生が2274人と最大であったが、医師が859人、看護師が1739人、救急隊員81人、その他の医療従事者263人、事務員206人と、多職種にわたっていた。 スキルラボの立場としては554件のプログラムのうち、自らが主催したものが182件、常勤管理者がインストラクターやコーディネーターとして積極的にサポートしたものが129件、場所や器材の提供のみにとどまったものが243件であった。 本邦にあるスキルラボが有効に活用されているとの報告は少ない。通常の医学部の学生教育プログラムに用いられているだけでは、利用回数も年間数回、年間のべ利用数も数百人が限度であると推測される。しかし、当クリニカルシミュレーションラボは、ほぼ毎日2件の教育プログラムが開催され、年間約5,000人が利用するという(世界的に有名なピッツバーグ大学のシミュレーショントレーニング施設(WISER)でさえも、年間約10,000人が利用)、非常に活発な学びの場となっていると考えることができよう。
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