これまでに行ったスギ花粉症の分子疫学研究において、各種CCケモカインレセプターの遺伝子多型解析(伝達不均衡試験)により、CCR2及びCCR3がスギ花粉症の感受性遺伝子であることを突き止めたが、この時にマーカーに用いたCCR2、CCR3の遺伝子多型CCR2 V64I、CCR2 N260N、CCR3 Y17Yは、CCR2のプロモーター領域の遺伝子多型-41A/G及びCCR3の+157G/A、+196Aと高い相関が見られたことから、翻訳領域の多型のみならずプロモーター領域の多型がスギ花粉症の原因となっている可能性も考えられた。そこで、翻訳領域及びプロモーター領域のいずれかの遺伝子多型が、ケモカインレセプターの機能に影響を及ぼしているかどうか検討するため、まずCCR2 WT、CCR3 WTそれぞれの発現ベクターを作成した。次に、Site-Directed Mutagenesisで各Variant (CCR2 m64、CCR2 m260、CCR2 m64m260、CCR3 m17)を作成した。それらの発現ベクターを用いて、各種ヒト由来細胞(HEK293、SW480、Jurkat)に遺伝子導入を行い、各Variantの発現細胞株を樹立した。いずれのVariantも導入細胞株で良好に発現していることがmRNAレベルで確認された。また、プロモーター活性への影響については、CCR2、CCR3のプロモーター領域を、Wild Type及びVariantそれぞれについて数種の異なる長さでルシフェラーゼベクターに組み込んだ。今後これらの発現細胞株及び各種ルシフェラーゼベクターを用いて、CCR2、CCR3の機能への影響を検討する予定である。
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