研究概要 |
最近、1型糖尿病患者における2型糖尿病の家族歴が、合併症発症の危険因子であることを示唆する報告が散見されるようになった。しかしながら、我が国においては、家族歴の詳細を全国規模の地域調査で検討した報告は非常に少ない。 本調査は、全国調査によって1965〜91年に登録された症例3505名を対象とする。これらの症例は、18歳未満で発症し、かつ発症後1ヶ月以内にインスリン治療が開始されたという条件を満たす,1型糖尿病で、同年代に診断された症例を代表していることが、すでに検証されている。 方法であるが、家族歴に関する調査票(家族歴の有無、家族歴がある場合は病型(1型か2型)ならびに登録症例との関係)を、対象症例の主治医に送付し記入を依頼する。その際、症例本人から、主治医を通して同意を得る。同意を得られた症例に関してのみ、調査票の返送を依頼する。症例が転医していた場合は転医先を主治医から聞き、調査票を再送付し、さらに転移先の主治医より本人に同意を得ることとする。 平成16年度は、登録症例のデータベースを整理し、調査票を印刷、対象症例の主治医に調査票を発送し、回収作業を開始した。現時点において、935名(27%)に関して同意を得て、家族歴に関する情報を収集した。そのうち、1型の家族歴があるものは44名(4.7%)、2型の家族歴があるものは130名(13.9%)存在した。今後とも、以上の追跡方法により、症例の80%の家族歴が判明するまで追跡を続行する予定である。
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