研究概要 |
1.コホート全体の概要 対象は3地方自治体および1運輸会社の職場健康診断を受診した21-64歳までの労働者である。自記式質問紙調査票を用い、運動、喫煙、飲酒習慣、労働時間や職業ストレスを調査した。インフォームドコンセントを得た男性7,195名、女性1,868名の参加が得られた。 2.CRP、ヘリコバクター・ピロリ(HP)の動脈脈派速度(PWV)への影響 男性において、HP抗体陽性のオッズ比が1.27(95%CI;1.05-1.52)、HP抗体陽性とhigh CRPの組み合わせのオッズ比が1.50(95%CI;1.14-1.98)と、いずれもbaPWV高値となるオッズ比が有意に高かった。しかし女性では有意な関連は認めなかった。 3.職業ストレスのPWVへの影響 努力報酬不均衡モデル(ERI)と仕事要求度自由度モデル(DCM)で評価した職業ストレスとPWVの関連について調査を行った。多重線形回帰分析から、男性では、低仕事自由度が有意にPWV高値と関連していた(P=0.003)。女性では、低仕事自由度と高仕事要求度で示される高ジョブストレインが有意にPWV高値と関連していた(P=0.017)。ERIとPWV高値の間には有意な関連は認められなかった。 4.CRPと内臓脂肪の関連 肥満と内臓脂肪、CRP、インスリン、IL-6、TNF-α、頚動脈超音波のIMTを評価した。単回帰ではCRPは肥満の指標に有意に関連していた。年齢、性、喫煙、で調整後、CRPはウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比、内臓脂肪面積といった内蔵肥満の指標により関連していた。IL-6とTNF-αはCRPに関連しなかった。血圧、代謝の指標、CCA-IMTもCRPと関連していた。しかし、年齢、性、喫煙、BMIで調整後は血圧とHDLのみが有意であった。
|