研究概要 |
平成14年4月1日から平成15年3月31日の1年間に茨城県内の某総合病院の人間ドック部門を受診し、かつ本研究のインフォームドコンセントにおいて同意の得られた成人男女714名のうち、高血圧、高眼圧症および緑内障の治療を受けていない32歳から80歳の男女602名(男性458名、女性144名)が縦断研究の追跡対象者として選出された。本研究では、身体測定、血圧および眼圧測定、視力、眼底検査、血液検査をはじめとする全身の諸検査とともに、詳細な質問票により運動習慣、食生活嗜好の実態など種々の生活習慣の状況を確認した。眼圧は、非接触式圧平眼圧計(NT-2000,NIDEK, Japan)を用いて両眼とも3回ずつ計6回測定し、その平均値を用いた。統計解析にはSASを用いた。共分散分析による断面的解析の結果、肥満度(BMI : Body mass index)、収縮期および拡張期血圧、アルコール摂取頻度(「全く飲まない」、「月に2、3回」、「週に2、3回」、「毎日飲む」の4種の摂取頻度)、タバコの摂取量(「全く吸わない」、「1日に1本以上20本未満」、「1日に20本以上」の3種の摂取量)が増加するに従い有意に(p<0.05)眼圧が上昇する傾向を認めた。本研究の結果から、BMIおよび血圧の上昇、喫煙および飲酒習慣は眼圧の上昇に関与する可能性のあることが示唆された。今回の成績から、開放隅角緑内障患者における眼圧コントロールのために、肥満および高血圧の改善とともに、節酒および禁煙が重要であると考えられる。
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