研究概要 |
平成13年11月から平成15年3月まで妊婦を対象にベースライン調査を実施した。1,002名の妊婦より完全なデータを得た。平成14年8月から平成16年3月まで生後4ヶ月時の追跡調査を実施し、867組の母子から質問調査票により情報を得た(追跡率86.5%)。平成15年10月より1歳6ヶ月時の追跡調査を開始した。概ね4ヶ月時の追跡調査に参加した9割の母子が、1歳6ヶ月時の追跡調査にも参加している。平成16年10月より2歳6ヶ月時の追跡調査も開始している。この調査では、質問調査に加え、毛髪中の水銀濃度の測定も実施している。 16年度は、1002名の妊婦におけるベースラインデータの詳細な解析に従事した。計7編の英文原著論文を投稿し、4編が受理された。主要な結果として、現在喫煙者で喘息の有病率が有意に高いこと、間接喫煙を曝露している妊婦でアレルギー性鼻炎の有病率が有意に高いこと、一日15本以上の喫煙者及び喫煙のパック-年が8以上で有意に血清中の総IgE値が高いことが示された。栄養疫学では、大豆製品及びインフラボン摂取を4分位に分けたところ、最も高い4分位で有意にアレルギー性鼻炎の有病率が低かった。海草、カルシウム、リンの摂取も有意にアレルギー性鼻炎有症率と負に関連を示した。一方で、ベータカロチンはアレルギー性鼻炎と有意な正の関連が認められた。野菜、果物、ビタミンCとE、食物繊維は鼻炎と関連がなかった。魚類摂取との関連は、喘息では有意に負の関連が認められたが、アトピー性皮膚炎ではU字の関連、鼻炎とは負の関連の傾向が認められた。現在喫煙及び自宅での強い間接喫煙曝露は抜歯経験有りと有意な正の関連が示された。緑黄色以外の野菜摂取と抜歯経験は有意な負の関連が認められた。 今後はアレルギーの解析以外に、4ヶ月時追跡調査で得られた産後うつ病のリスク要因の解析も実施する。
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