本研究の目的は、就学児童(6-12歳)の一般的QOL測定のための尺度を、コンピュータを利用したイラスト・音声付質問紙票KidIQolとして開発し、実地調査を経て妥当性、信頼性、敏感性を検証することである。KidIQolのそれぞれの質問には、内容を表現する男児・女児別のイラストの描画、および音声がプログラムされており、属性の入力を経て質問に入り、回答終了後はデータがCSV形式の書類でデータベースに蓄積される仕組みとなっている。 作成したQOL尺度の基準関連妥当性を検証には、既存の尺度での評価の結果との整合性をもって判断するのが適当であると思われ、KINDL日本語版を使用した。 作成した電子化質問紙票KidIQolを用いて、和光市3小学校(北原小学校、本町小学校、白子小学校)および志木市(志木小学校)の合計4校にて調査を実施した。原則として、各小学校において1年から6年まで、1クラスずつに参加を依頼し、志木小学校においては、各学年2クラスずつ、「コンピュータグループ」(KidIQolコンピュータ+KINDL紙)と「紙グループ」(KidIQol紙+KINDL紙)の2つのグループをそれぞれ割り当てた。 結果として、和光市全体で629人(男子50.9%:女子49.1%)の児童が質問紙に回答し、さらに志木市にて電子化質問票に回答した児童168人を加え、797人が調査に参加した。KINDLを用いた先行研究の結果と比較したところ、スコアにおいてほぼ同様の傾向が認められ、対象者の一般性がうかがえた。電子化質問票によって得られたデータに関しては解析をすすめ、報告書としてまとめた。
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