研究概要 |
目的 多様な食生活は多くの国の食生活指針で推奨されているが、その評価指標が統一されておらず、摂取食品の量的なバラツキを考慮した指標もない。そこで本研究では、食品群別栄養素等摂取割合を用いた新しい食事多様性評価指標を提案し、日本人におけるその年次変化を考察することを目的とする。方法食品群別栄養素等摂取割合より、次の量的多様性指標を算出する。 QUANTitative Index for Dietary Diversity (QUANTIDD)={1-Sigma(prop(j)×prop(j))}/(1-1/n) ただし、prop(j)=栄養素等摂取量に占める食品群jの寄与割合、n=食品群数、j=1,2,...,n。 この指標は、栄養素等の摂取源がすべての食品群に均等に分布している場合最大値1をとり、単一の食品群に偏っている場合最小値0をとる。1957年〜2000年の国民栄養調査公表データを用いて、摂取エネルギーおよび摂取重量に関する量的食事多様性指標の年次変化を調べた。結果摂取エネルギーの量的食事多様性指標は、1957年に0.52だったのが、1960年代から70年代にかけて増加して第1次石油ショック後の74年には0.77、その後も漸増して2000年には0.85だった。摂取重量の量的食事多様性指標は、1957年に0.83、同じく60年代から70年代にかけて増加して74年には0.93、その後はほぼ一定で推移して2000年には0.94だった。考察60年代から70年代前半にかけては日本の高度経済成長期にあたり、この時期に観察された量的食事多様性指標の増加は日本人の食生活の変化を表していると考えられる。本研究で提案した量的食事多様性指標、特に摂取エネルギーに関するそれは、集団の食事の多様性を要約する指標として有用である。
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