研究概要 |
野菜に高濃度含まれている硝酸塩や亜硝酸塩の摂取は、外因的な一酸化窒素(NO)、あるいはNO関連物質の供給源となり、胃粘膜局所での感染防御や胃血流の改善に重要な役割を果たしていることが示唆されている。本年度は、胃粘膜でのNO関連物質の一つであるニトロソ化たんぱく質を検出し、胃の生理機能との関連性を評価した。ICR雄性マウスに種々投与量の亜硝酸ナトリウム(0-0.2mmol/kg)を経口投与し、1時間後、胃をすばやく摘出し、瞬間冷却剥離法により筋層を除去し、マウス胃粘膜を調製した。調製した胃粘膜をSDS含有HEN bufferにて溶解させ、上清中のたんぱく質をBiotin switch assayにてニトロソ化たんぱく質の検出を行った。その結果、マウス胃粘膜のニトロソ化たんぱく質は、投与した亜硝酸ナトリウム量に依存して相対的に増加した。これらニトロソ化たんぱく質のうち、特に分子量〜180,〜80,〜38,〜32,〜4kDaのたんぱく質は、亜硝酸ナトリウムを投与しなかったマウスにおいても検出され、そのバンドの強度は亜硝酸ナトリウムの投与量依存的に増加した。今後は、これら分子量のニトロソ化たんぱく質の同定をプロテオーム解析にて行う予定である。 これに加えて、本実験で使用した硝酸塩(0-0.2mmol/kg)や亜硝酸塩(0-0.2mmol/kg)のマウスやラットへの経口投与によって、水浸拘束ストレス(21℃,4時間拘束)による実験的潰瘍形成が顕著に抑制されることを見いだした。今後は、これらのストレス負荷時でのニトロソ化たんぱく質の量的、質的変化に関しても追跡していく予定である。
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