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2004 年度 実績報告書

肝線維化の分子機構-肝硬変治療の新戦略-BAMBIによる遺伝子発現プロフィル変化

研究課題

研究課題/領域番号 16790393
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

北村 直人  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306691)

キーワード肝線維化 / activin / follistatin
研究概要

我々はDimetylnitrosamine(DMN)による肝障害ラットにおいて、follistatinの静脈投与の繰り返しにより線維化の抑制に成功した。生存率は生食投与群では50%、follistatin投与群では95%であった。腹水は生食投与群全例に認めたのに対し、follistatin投与群では1μg投与群で40%、2μg投与群では20%であった。血清中のGOT-GPT-ALP-albuminは、コントロール群156IU/l-43 IU/l-235IU/l-3.6g/dl、生食投与群224 IU/l-152 IU/l-1147 IU/l-2.8 g/dl、follistatin1μg投与群199 IU/l-113 IU/l-867 IU/l-3.3 g/dl、follistatin2μg投与群153 IU/l-70 IU/l-654 IU/l-3.8 g/dlであった。いずれもfollistatin投与群で用量依存性に改善を認めた。免疫組織化学的検討では、同部にα-actin陽性細胞が多数検出され、TGF-βも豊富に発現していた。濃染領域はfollistatin投与群では著明に抑制されていた。DMNによる肝機能障害は、follistatin投与により有意に抑制され、その程度は用量依存性であった。Follistatinは肝機能障害の治療目的に期待できると考えられたFollistatinはactivinに結合し、そのシグナル伝達を阻害する物質であるが、しかし、従来より肝の線維化にはTGF-betaが関与しているとされており、activin-TGF-bets双方ともsmadを介したシグナル伝達機構を持つことで知られている。しかし、follistatin投与ではTGF-betaを阻害する機構が説明できず、まず、activinとTGF-betaの関係について探求した。我々は、伊東細胞-肝細胞を分離し、それぞれにactivin-TGF-betaを添加し、collagen産生について両者が相加効果を持つことを確認した。さらに、DMNによる急性肝障害ラットにおいて、follistatin投与群-非投与群でのactivinとTGF-betaのmRNAの発現を解析した結果、TGF-betaの発現はactivinの発現に遅れて認められ、かつ、TGF-betaの発現は伊東細胞に限られ、activinは肝細胞-伊東細胞の双方から発現し、肝細胞からの発現の方がより早いという結果を得た。以上により、傷害をうけた肝細胞からactivinがまず分泌され、それにより、伊東細胞が活性化され、activin及びTGF-betaを分泌するという仮説をたてるに至った。

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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