研究概要 |
我々はDimetylnitrosamine(DMN)による肝障害ラットにおいて、follistatinの静脈投与の繰り返しにより線維化の抑制に成功し、報告してきた。近年、apoptosisと線維化の関与が示唆された。我々は、TUNEL法を用いてfollistatin投与により、DMNによる肝細胞のapoptosisが抑制されることを示した。また、その効果は線維化の抑制と同じく、用量依存性であった。また、昨年たてた傷害をうけた肝細胞からactivinがまず分泌され、それにより、伊東細胞が活性化され、activin及びTGF-betaを分泌するという仮説に対して、DMN投与により急性肝障害を引き起こし、0,1,2,3,6,12,24,48,72時間、および7日後におけるラット肝組織からのactivin及びTGF-betaの発現を蛋白およびRNAレベルで確認した。また、より細胞特異的な発現を証明するためにin situハイブリダイゼーションを施行した。これらにより、DMN投与後、肝細胞から分泌されたactivinが伊東細胞を刺激し、活性化された伊東細胞からactivinとTGF-betaが分泌される.これらがさらに肝細胞と伊東細胞を刺激して線維化が促進されることが示された。Follistatinは肝細胞から分泌されたactivinが受容体に結合することを抑制することで、その後のシグナルを抑制し、線維化を抑制することを証明した。 次にFollistatinと同様にactivinに結合し阻害作用を示すBAMBIに注目した。Follistatinを作成するにはうさぎなどを使用する必要があるが、BAMBIはより小さな物質のため、比較的人工的に作りやすく、大腸菌などで大量発現させることができるメリットがある。BAMBIのほぼ全長をサブクローニングし、ベクターに組み込んだが、蛋白発現までいたらず、現在、BAMBIの大量精製を目指している.
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