マウス頸動脈結紮モデルによる動脈硬化誘発マウスにおいて核内転写因子RXRアゴニストである、HX630投与は動脈硬化の進展を著明に抑制することをまず示した。この作用はインターロイキン6、インターフェロンγ、ICAM-1、VCAM-1の発現抑制を介していることを免疫組織染色とウエスタンブロット法を用い、タンパク質レベルで示した。さらに、インターロイキン6が培養平滑筋細胞においてメッセンジャーRNAレベルでも同様に抑制されていることを定量PCR法を用いて示した。これらから、核内転写因子RXRのアゴニストはサイトカインなど炎症性物質の発現抑制を介して平滑筋増殖抑制作用を発揮していると考えられ、これらの成果をまとめて、2004年度日本循環器学会総会・学術総会にいて発表した。その後、培養平滑筋細胞においても増殖抑制作用を持つことが明らかとなった。これらの結果を現在論文にまとめ、投稿中である。 さらに、RXRとヘテロダイマーを形成する核内転写因子である、PPARγのアゴニストであるピオグリタゾンがマウス移植心における冠動脈硬化の進展に抑制作用を持つことが明らかとなった。さらに、このような慢性拒絶だけではなく、移植心そのものの急性拒絶に対しても抑制作用を持つことが判明した。この作用は、ピオグリタゾンがサイトカイン、接着因子などの発現を抑制し、抗炎症作用を発揮することによることが、メッセンジャーRNAの発現をRPA法で検討した結果から示された。これらの結果についてはアメリカ移植協会の年次総会においてポスター発表を行い、優秀演題として表彰された。この結果についても現在論文にまとめ投稿中である。
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