ラット心筋培養細胞を用いた細胞シートを作製、まずIn vitroで、2枚のシートを重ね合わせることによって、電気的な結合が生じることを観察した。実験は、膜電位感受性色素Di-4ANEPPESを用い、活動電位の伝搬を可視化して確認した。シート同士の電気的な結合は我々のin vitroの条件では2-3日で完成が確認出来たが、免疫組織科学的な検討では、Nude Ratの皮下に移植した細胞シートに比較して、in vitroでは5-6日経過すると、横紋構造などが疎となり、萎縮傾向を示していたことから、in vitroでの長期培養に限界を感じ、予定を変更して、ラット下心筋培養細胞を用いた細胞シートを、Nude ratの心臓に移植、ホストとの電気的な同期現象を観察することとした。観察はin vitroと同様に膜電位感受性色素Di-4ANEPPESを用い、細胞シート移植片と、Hostとの電気的な結合を目視にて確認した。またプログラム刺激法を用いて、細胞シート移植によるホストに不整脈が生じないことを確認してきた。移植した心筋シートが、ホスト上で生着しているかどうかを免疫組織学的な検討を行った。すなわち心筋シートをマーキングし移植、移植後に免疫組織学的な検討を行い、Coforcal Laser顕微鏡を用いて、移植片の組識学的な検討を行った。その結果、移植片は一週間後も移植した局所に生着し、1週間ほどの経過で血管新生が生じ、明瞭な横紋構造・ギャップ結合を有することを明らかにし、本移植片が十分生体内で機能していることを確認した。
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