研究概要 |
A.研究目的:転写因子Foxf1は、肺の間質細胞で産生され、Target geneには成長因子であるHGFや、MMP-1,3などが確認されている。予後不良なUIPでは、線維化の吸収が不良であることが、病理形態学的な特徴である。 B.研究方法:16-17年度はFoxf1のm-RNAレベルでの発現、Foxf1抗体による、組織での分布を確認した。18年度においては、同実験の再検討と、線維化を吸収するプロテアーゼであるMMP1,2とそのinhibitorであるTIMP2のm-RNAレベルでの発現、免疫染色を施行した。 C.研究結果:(1)免疫組織化学結果:MMP1,2は、いずれも予後良好のCOPの早期線維化巣の線維芽細胞に強い陽性像を示した。UIPではこれらの染色性は弱かった。TIMPはCOPでは弱く、UIPでは強い染色性を示した。(2)Real time PCR結果:前年度と同様にFoxf1のみUIPに有意に低発現であった。また、免疫染色結果とは反対に、有意差はなかったがTIMPはUIPで高い傾向であった。 D.考察:Real time PCRでの再現性よりUIPでのFoxf1の低発現は、肺胞再生不良を反映している可能性が考えられる。Foxf1のターゲット遺伝子としてMMP-1があるが、今回のReal time PCRで有意差は出なかったが、免疫染色ではUIPで有意に弱いことより、線維化を吸収するMMPを制御するFoxf1のUIPにおける低発現の傾向は、線維化の吸収不全に関連することが予想される。
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