肺ガン細胞の培養上清の精製 10%FBS-DMEMで肺ガン細胞A549を培養したconditioned meiumに、肺線維芽細胞MRC-5の形態変化を誘導する物質をこれまでに見いだした。本年度は、その培養上清を、様々な逆相カラムで分画し、活性を調べたところ、C18カラムと相互作用をもつ活性物質を得ることができた。そこで、最初にオープンカラムを使ってC18カラムと相互作用する物質を精製し、さらに細かく分画するため、HPLCを用いて分析と分取をおこなった。分析の結果から、A549の培養時間に依存して、増加するピークを見いだすことができた。その増加するピークを分取し、活性を測定したところ、MRC-5の形態変化の誘導とα-SMAの発現を抑制する効果が見られた。現在は、その物質を大量に分取し、マススペクトロメトリーによる分子量の測定とNMRを用いた構造解析を行っている。 筋線維芽細胞のタンパク質発現変化 これまでの結果から、A549のconditioned mediumで肺線維芽細胞MRC-5を培養すると増殖が抑制され、細胞周期停止が誘導されることがわかった。また、その時に細胞周期停止に関連するタンパク質p21の発現が増加した。今回、A549のconditioned mediumから精製した物質を用いて、同様な活性があるかどうかを調べると、精製した物質が早期にMRC-5の細胞周期を停止させ、p21の発現増加を誘導した。この結果から、精製した物質はA549のconditioned medium中で働いている主な活性物質であることが考えられた。今後、この物質を用いて、細胞内のタンパク質発現について詳細に調べていきたいと考える。
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