研究概要 |
長期透析患者では高リン血症が高頻度に観察され、異所性石灰化による心血管病変が死因の50%を占めていることから、その予防が予後に重要な意味を持つ。高リン血症に起因して異所性石灰化をもたらすPFB(PHEX-FGF23-Fetuin-BRC)経路を解明する目的で、破骨細胞におけるリン感受分子(リントランスポーター)の同定と、カルシウム・リン結晶化阻害因子Fetuinの分泌機構の解明を行なっている。 我々は破骨細胞に存在するリン酸輸送分子を同定するために、^<32>Pラベル体を用いた取り込み実験により破骨細胞のリン輸送能の特性を検討した結果、これまで報告されているNa/Piトランスポーターとは異なる、酸性域で活性を持つ新規分子の存在を明らかにした(Am J Physiol Cell Physiol,288(4) C921-31,2005)。また、現在破骨細胞特異的なリン排出機構も明らかにしており、PFBにおける破骨細胞の重要性を示している。そこで本分子の実体解明を行うために、トランスポーターデータベースによる候補分子の探索および、破骨細胞活性化前後でのマイクロアレイにより候補分子を探索し、現在解析を進めている。さらに、近年新たに同定されたリン調節ホルモンFGF-23の調節機構を転写レベルで明らかにし、FGF-23がリン代謝調節に重要な作用を持つビタミンDのフィードバックに直接関わることで、リン代謝調節を行なっていることを明らかにした(Am J Physiol Endocrinol Metab, in press)。今後、Fetuinの骨における役割とリン輸送分子との関連を、破骨細胞培養系ならびにモデル動物にて検討する。またリン感受分子の同定と機能解析を行い、BRCの機能とPFB経路の調節機能の検討を行う予定である。
|