研究概要 |
岐阜大学の鈴木教授より提供された合成ヒトプロレニン受容体(プラスミドDNA)をラットにトランスジーンし飼育し(1)野生型(2)ヒトプロレニン受容体のトランスジェニックラット、の2群に分け、各週齢ごとに重要臓器を取り出し、免疫組織化学染色にて比較検討を行ってきた。また、(1)(2)における各種重要臓器のアンギオテンシノーゲン,レニン,ACE,AT1R,AT2R遺伝子をそれぞれRT-PCRにて定量し、(1)(2)でその量に有意な差がないことを確認した。さらに(1)(2)におけるヒトプロレニン受容体の定性PCRを施行し、(2)のみにヒトプロレニン受容体が確かに発現していることを確かめた。その結果、半年後には(2)において高血圧を来たすことなく重要臓器に臓器障害を来たした。また血清・腎臓内のレニン・アンジオテンシン系は二群間で有意な差は認められなかったが、腎臓ではPERKの活性が(2)で有意に亢進しており、当初予想したとおり、従来のレニン・アンジオテンシン系とは独立したプロレニン受容体独自の系が働いて、トランスジェニックラットにおいて重要臓器の障害を有意に来たしたと考えられ、これにPERKが関わっていることを示した。今後は、この2群に対して、糖尿病に罹患させたものとそうでないものとを各週齢ごとに重要臓器を取り出し、比較検討し、さらに、これらにARBやACE inhibitorを加えることにより、臓器障害がどの程度阻止されるか増強させるかの検討を行っていく予定である。
|