研究概要 |
1.マグネシウム(Mg)輸送蛋白質の候補遺伝子のスクリーニング:マウス尿細管細胞由来MCT細胞、及びヒト胎児尿細管細胞HEK293細胞から樹立したMg耐性株細胞と対照野性株細胞それぞれから、poly(A)+RNAを抽出した。これらよりcDNAを合成し、DNAマイクロアレイ(Affymetryx製GeneChip)を用いて両細胞株の包括的な発現比較を行い、Mg耐性細胞に特異的に発現が増加している遺伝子を選出した。ヒト、マウス両種のMg耐性株細胞で特異的に発現している遺伝子は、約200個近く認め、これらの中にMg輸送タンパク質の候補遺伝子が含まれていると思われた。その中で、既知の遺伝子が52個程存在した。同定された残りは、機能未知の遺伝子であった。現在各々の遺伝子について機能・発現について検討しているところである。 2.Mg輸送蛋白質の同定:上記遺伝子の中から、Mg輸送活性を示す可能性がある膜タンパクを選出した。SLIT-1、SLIT-2,CRR-9(Cisplatin-resistance related ggenes)遺伝子のcDNAを動物細胞一過性発現ベクターに組み込み、リポフェクチン法を用いて野生体細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入された野性株が、Mg耐性を獲得しているかどうか検討したが、高Mg培養液での耐性は得られなかった。しかし、Northern blottingで確認しても明らかにMg耐性株では、野性株に比較して発現が増強しているため、Mg輸送機構に何らかの役割を果たしていると考えられた。
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